息子たちはいつの間にかタケノコをおいしいと言う年になっていた。

チビが洗った仕事着を無造作に袋に入れていた。

「ちょっと、もっと丁寧にたたんで入れなさいよ。シワシワになるよ。1年前はきれいに畳んで持って行ってたのに。」

小言を言う母を気にもせず、上着、ズボンを折り目も合わさず袋に入れていた。

「もう。」

と言っている私に、そばで見ていた次男が言う。

「おかん、チビ歌うたいながらやっとるぞ。鼻歌ふんふんいいながら。」



あ、そういや、、1年前、もっと言うなら2年前、環境の変化が苦手なチビは仕事もできず毎日青白い顔をして、「気持ち悪い」だの「頭が痛い」だの「誰それがどうした」愚痴を言うだのしながら会社に行っていた。
洗った仕事着は、まるで時間稼ぎのように丁寧に丁寧に畳んでいたっけ。


「ほんとやね。いいかくちゃくちゃでも」(いや、やっぱりよくない気もするが・・・)
「そやそや」

そんな会話をそばでしていてもチビはお構いなしで、鼻歌を歌っていた。



母親っていうのは、というか、私はだな。
私は、そんなにうるさい母親ではないと思う。これは、息子たち本人からも聞くが、こまごまとうるさくないところが私のいいところだと。だけども、私が息子たちにかけている目や手はその辺の過干渉な親たちとなんら変わらないかもしれない。しかも、のど元過ぎればで、いつも「今」目の前にあることに右往左往される。

そういう一方向からしか見えなくなっている目を、違う角度から見て言葉にしてくれるのが息子たちだ。
やつらのおかげで私の人生観はずいぶん変わった。

うん。くちゃくちゃの仕事着を着ている息子よりも、毎日青白くて、愚痴ばかり言っている息子の方が嫌だ。たった2年でずいぶん慣れてたくましくなった。そういえば。
夜勤から帰ってきて私の後を追いかけまわしため息をつきながら愚痴を言うことはもうない。息が浅く筋肉がこわばっている様子もなく、会社の先輩方に飲みに連れて行ってもらったり、マージャンを教えてもらったり、近々バーベキューでもしようという話まで出ているらしい。

そんなだから私はずいぶんと、ゆったりと心配事もせず過ごせている。
そういえば、そうだ。

友人が「小松にタケノコを買いに行くけどいる?」とLINEをくれた。
「いるいる!」
小松市の東山のタケノコは格別にうまい。

買ってきてもらって届けてもらったタケノコをすぐに湯がいて夜にタケノコづくしの夕飯を作った。
「お、タケノコや♪」とチビが言う。
「うわ、タケノコか」と次男が言う。
「こんなづくしにしんなんもんか?」と長男が言う。
そして、「鶴来のタケノコと違うかな?」と懐かしそうに言う。
息子たちのお父さんの実家はタケノコの山を持っていて野生に生えたタケノコを毎年食べていた。硬くてえぐみも強くて、それがまた店で買ったら絶対にない味と触感で大好きだったが、小さかった息子たちにとっては少々強すぎた感があった。

「たぶん、鶴来のタケノコとは全然違うと思うよ。野生じゃないし。」
「イガイガせん?」
「たぶん」

今日はあんまりいらないと言っていたチビがお代わりをし、体調が悪くて早引けしてきていた次男は彼女にたぶんいったらしくしばらくしてうれしそうな顔をした彼女も「おいしいおいしい」と食べていた。
長男もついこの間まで手も付けなかったタケノコ煮もパクパクと食べ、「うまかった、ごっそさん」と平らげていた。

いつのまにか、タケノコもおいしいと言って食べる年齢になっている。

.あぽじら 金沢市三社町11-30(090-2838-8766)

miniJ300石川 公式ホームページ http://j300-ishikawa.jimdo.com/

JimdoBestPages2015 Jimdo Founder Selection受賞サイト
瀧川眞人の日本画の世界とこども絵画教室
http://takikawamasato.jimdo.com/


コメント

このブログの人気の投稿

自己チューな言葉

「あぽじら」の正しい使い方

石引の「風月堂」さんが10/31で店じまいらしいです(´;ω;`)ウゥゥ

11/18 ちょっとお得なお勉強会に一緒にいきませんか~~♪♪

死ぬほど働いて月50万か、週4日一日4時間働いて50万か。